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2009年02月12日

駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」

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駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」

敷地を実際に確認しながら並行して法的規制を主に調べる。今回の提案内容には、工事費の概算や竣工までの工程の提出も含まれていたため、特に、建物の配置や規模に影響する条件に注意しつつ。。

一般に、建物を計画する際の法的規制については、手元にある法令集によって、敷地条件から自ずと直ぐに出揃います。。ただ、実際のところは、詳しく記されていなかったり、読み解きにくい条文である場合がよくありますので、面倒ですが、そのあたりは行政窓口で直接確認し裏をとります。

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駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」
「真嘉比古島地区」地区計画計画図
→このような、地域によって異なる計画図やら新しい条文やら、その他参考になるものは、後で泣きをみないように(笑)、時間と経費の許す範囲でひたすら揃えていきます。この計画図についても、スタッフが一度、行政の窓口へと直接確認には行っています。

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ところで、計画を進めるなかで、建物の配置と規模を決める際のポイントとなった法的規制としては、主に、、
・日影規制
・2以上の直通階段の扱い
・車庫等の面積緩和
であるらしいことがみえてきました。

以下の4つの配置図は、2次審査プレゼンの直前につくったものですが、配置や規模の計画のなかでは、メンバーそれぞれが案を出し合い、4つのパターンを行きつ戻りつの議論を積み上げていったのを記憶しております。


駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」
【広場寄り:I型】→モノレールやDFS側からの建物への存在感が期待できそう。ただ、駐車場は大きくとれるが、広場側が何かしっくりこない。繋がりが薄いというか。オフィス部のエントランスはどうしよう。。国道側の既存階段が気になる。。I型案は、基準階の居室を200㎡以下に抑え非難器具を設けることにより、縦動線をコンパクトにできるかも。。ただ、容積をめいいっぱいとるとどうなるか。。


駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」
【敷地中央:ロ型】→建設コストは躯体レベルで考えると最も安上がりかと。。駐車台数が気になる。敷地内のオープンスペースが広くとれ、開放的な感じがする。ただ、公共的空間の必要性はどの程度まで考えるべきか。。


駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」
【国道寄り:I型】→モノレールやDFSからの「みえ」が最も期待できる。日影規制が気になるがなんとかなりそう。駐車場も大きくとれそう。ただ、広場側との関係性はどうなるか。。オフィス部のエントランスについては。。区画整理後の隣地や道路のレベルを調べていくうちに、1~2mの高低差ができることがわかる。。駐車場の計画とともに考えないと。。


駅前ビル:工夫②:「建物配置の比較検討」
【国道と広場寄り:L型】→それぞれでたI型を合わせたもの。モノレールからの「みえ」も確保され、駐車場も割りに広め。ちょうど日影規制の部分に基準階オフィス部分を持っていけそう。なにより、1,2階の店舗スペースが広くとれるのと、広場側との長い繋がりが魅力。ただ、L型とすることで、建設コストは長方形型よりも上がりそう。その分はテナントの年間収支とのバランスで審査側は納得するかどうか。。


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このような具合で、いろいろ考えを巡らしつつは、少しずつ各配置計画案のメリットデメリットを揃えて比較していきました。。法的規制のほかに、コンセプトなどの統一イメージであったり、収支や建設費などのお金のことも考えつつなので、なかなか直ぐに決めることはできない、、というより決定しないように努める。。議論するメンバーは4人。それぞれ、仕事を抱えつつ、メールなども活用し、週に何度か打ち合わせの場を設けて意見をぶつけあう。。配置計画はそれほど重要と考える。最も重要かも。。

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提出まで10日くらいしかないあたりで、L型配置案を選びました。ただ、この案のデメリット解消や、他の配置案でのメリットをうまく取り組めるよう、思考や議論を硬直させないように注意しつつ。。

そのなかで、他の配置案にはない、最も強調したいポイントが2つに絞りこまれていきました。キーワードは「①立体的な動線計画」と「②賑わい創出」。。

①敷地への3つアプローチがあることと、区画整理後の微妙な高低差を意識した「立体的な動線計画」の可能性。
②1、2階合わせて1000㎡近くある店舗面積と間口の広さによる、駅前広場における「賑わい創出」の可能性。


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これらキーワードの価値を検証しつつ、腹を決め、L型案で後は突っ走ることに。。統一したコンセプトはこの段階では正直まとまっていない、というかメンバーに共通した明確なイメージが浮かび上がってこないので無理にまとめようとはしない。。

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