てぃーだブログ › クロトンけんちくブログ › コラムなどエッセイなど › 「人体と建物の仕組みからメンテナンスを考える」

2009年02月27日

「人体と建物の仕組みからメンテナンスを考える」

 建物の仕組みは、よく人間の身体に置き換えて説明されます。構造(く体)は人体骨格、設備機器は器官や臓器、給排水管は血管、電気配線は神経、そして外壁の塗装などの仕上げ材は皮膚といった具合に、それぞれ例えられるでしょうか。
 人間の場合、健康を保つために、日々の食事や運動、健康診断などの心掛けが大切です。それと同じく建物も、長持ちさせるのであれば、こまめな保守点検や補修などが必要になってくるのは、ご存知の通りです。
 建物の耐久性に大きく関係するのが外壁の仕上げ材です。こまめにケアすれば、建物の美観を保つことはもちろん、寿命を延ばすことができます。外壁の仕上げも、人間の皮膚と同じく、紫外線によって劣化します。
 また海に近い場所に建つ鉄筋コンクリート造の場合などは特にですが、仕上げ材が劣化していると、空気中の塩分がコンクリートに浸透し、内部の鉄筋を腐食・膨張させます。それを放置しておくと、コンクリートがはがれ落ちたり、ひび割れもつながります。
 人間の場合でも病気になる前の予防が大事だと言われているよううに、建物も劣化の兆候を見つけることが大切です。塗装仕上げであれば、触ったときに粉っぽければ、劣化のサイン。すみやかに、塗装し直すことが必要になります。
 話は変わりますが、40歳から74歳を対象とした「メタボリックシンドローム検診」の義務化には、予防という観点で将来的な医療費を抑えたいという、国の大きな目標があるようです。実のところ、義務化そのものが医療費の増大となるかもしれえないという意見があることは別にしても、日々の心掛けが大切であることを国民に再認識させるという点では、理にかなっているのではないでしょうか。
 条件にもよりますが、実は建物についても、耐震基準適合証明書の発行と関係がある「住宅ローン控除」のように、ある意味メンテナンスを促進する制度が幾つか設けられています。建物の健康(状態)が制度面においても、人の身体と同じように大切に考えられているようで興味深いですね。
 建物を、自分の身体と同じように大切に考えて定期的なメンテナンスをおこなっていくことは、住まいに対する愛着であったり、快適に長く暮らすことへのヒントにもつながっていくものと思います。


「人体と建物の仕組みからメンテナンスを考える」
(イラスト=古堅工務店)人間の身体とおなじような仕組みを持つ住まい。定期点検とこまめにメンテナンスで、長く快適に暮らしたい。



同じカテゴリー(コラムなどエッセイなど)の記事
「家の記憶」
「家の記憶」(2008-05-23 08:15)

「角出し住宅」
「角出し住宅」(2008-05-11 02:38)